年長の6月から始めた、先天性前腕欠損の娘の「就学準備」。小学校への相談ロードマップ

先天性前腕欠損の娘(ペコちゃん)が、小学校で困らないためにはどうすればいい…?
そんな不安を抱えながら、私たちが6月から動いた『幼稚園・学校・専門家』との連携方法をまとめました。

読み進める前にお伝えしたいこと

⚠️この記録は、我が家が2025年度から2026年度にかけて行った就学準備の流れです。自治体や学校の基準によって対応が異なる場合がありますので、一つの「体験談」として参考にしていただければ幸いです。

目次

【6月】小学校への第一歩は、一本の電話から

初めて学校へ電話をかけるのは、とても勇気がいりますよね。電話が苦手な私は、何度も頭の中でシミュレーションしました。笑 私が伝えた言葉はこんな感じです。

「来年度入学予定の〇〇(親の名前)と申します。就学についての面談をお願いしたくご連絡しました」

電話口では、あらかじめ準備しておいたこの2点だけを伝えました。

  1. 生まれつき右腕に欠損があること
  2. 幼稚園では加配なしで、基本的に自分のことは自分でできていること

これだけで、学校側も「具体的にどんな相談だろう?」と体制を整えて準備してくれます。

そしてこちらの都合の良い曜日や時間帯を伝え、学校側が調整してから再度連絡をもらい面談日を決めました。

小学校の相談窓口は、地域によって教頭先生や特別支援担当の先生の場合もあるので、我が家は副校長先生でしたが、学校によって担当は違うかもしれません。

校長先生も出張などで忙しい!我が家の場合、6月下旬あたりに連絡してしまい、校長先生の出張や夏休み直前ということで、日程が限られてしまいました。なので、もう少し早くに連絡をした方が調整はしやすいかな?と思いました。

幼稚園の先生に「今の姿」を書き出してもらう

面談するにあたり、幼稚園の先生にペコちゃんの生活の様子を紙に書いてもらうことにしました。

簡単にですがフォーマットを作り、以下4項目について聞きました。

  • 給食
  • 運動
  • 工作
  • その他(日常生活など)

正直なところ、担任の先生には「忙しいだろうから、箇条書きでサラッと書いてもらえれば十分」と思っていました。あくまで小学校へ伝えるための客観的な資料になれば、という程度の気持ちでした。

しかし、返ってきた用紙を見て、びっくり。

先生は、私が作った「給食・運動・工作・その他」という枠の中に収まりきらず、枠の余白までびっしりと、ペコちゃんの「頑張っている姿」と「工夫している姿」を書き記してくれていたのです。

「あぁ、先生はこんなに細かく、ペコちゃんの毎日の成長を見守ってくれていたんだ」

小学校への引き継ぎ資料としてお願いしたはずが、いつの間にかそれは、ペコちゃんが幼稚園で過ごした3年間の「成長の証」という、何にも代えがたい宝物になっていました。

先生の言葉が、私の「お守り」になった

先生が書いてくださったメモの中に、忘れられない一節があります。

「こちらから手伝うか聞くというよりも、困り事やして欲しいことを大人や友達に伝え表現しています。できないことをできるように自分で考えて行動する力があります」

『必要な時は、人に頼る』これは障害有無に関わらず、必要なことだと思うんです。つい子育てをしていると、「それくらい自分でやりなさい!」と言ってしまうことがありますよね。私も反省の毎日です。でも、先生はペコちゃんの「助けを求める力」を、立派な強みとして認めてくれていたのです。

「できない時は人に頼ってもいいんだよ」 そんな当たり前だけど難しいことを、ペコちゃんはもう自然と身につけていた。そのことに気づいた時、ふっと肩の荷が降りました。

「ペコちゃんなら、入学してからも大丈夫」

いや、きっとこの先の長い人生も、自分の力で切り拓いていける――。 先生がくれたこの言葉は、私の不安を消し去り、ずっと大切に持ち続けたい「お守り」になりました。

皆さんも、お子さんが『自分でやりたい』という気持ちと『手伝ってほしい』という気持ちの間で揺れている時、どんな風に接していますか? 私はこのメモをもらってから、少しだけ肩の力を抜いて子どもと向き合えるようになりました。

【7月】夏休み前の校長面談。勇気を出して伝えた「合理的配慮」のお願い

面談は、校長先生・保健室の先生と行いました。(義手を使う可能性があると伝えたら、校長先生が保健室の先生にも声をかけてくださりました。)

まずは、普段のお家や幼稚園生活での様子を伝え、その後に「合理的配慮」のお願いをしました。「合理的配慮」といっても、決して無理な特別扱いをお願いするわけではありませんでした。

ペコちゃんの特性を学校の先生と共有し、『どうすればペコちゃんが、一番自然体でいられるか』を一緒に考えていただくこと――それが、私たちにとっての合理的配慮でした。

1. 「やり方」は違っても「同じ体験」を

体育や図工、音楽など、工夫が必要な場面でもできないから「やらない」のではなく、ペコちゃんなりの「やり方」を見つけるサポートをしてほしいこと

2. 道具(義手)を活用した参加

義手の着脱や、使用する際の見守りについて、先生方と連携し、学校生活の中で自然に、かつ安全に活用していきたいこと

3. 「対話の場」の継続的な確保

入学して終わりではなく、成長や状況に合わせて、都度相談できる時間を作ってほしいこと。

「合理的配慮」という言葉を使うと、何か特別な権利を主張しているように聞こえるかもしれません。

でも私が伝えたかったのは、「娘の『やりたい!』という気持ちに、学校という場所でも蓋をしないでほしい」という、親としてのシンプルな願いでした。

校長先生と保健室の先生は、私の話を丁寧に聞いてくださり、「まずはやってみましょう。そのためにどう工夫するか、一緒に考えていきましょう」と心強く応えてくださいました。

【8月・1月】ハビリスジャパン主催の就学前相談会への参加

8月:先輩家族の言葉で、「ぼんやりした不安」が「具体的なイメージ」に

8月の対面相談会では、実際に小学校生活を送っている先輩ご家族の体験談を直接聞くことができました。

それまでは「体育はどうするんだろう?」「給食の時間は困らないかな?」と、頭の中で漠然とした不安が膨らむばかりでした。でも、先輩パパ・ママから、

  • 「うちは体育の時はこんな風に工夫しているよ」
  • 「義手を使う時は、お友達にこんな風に説明したよ」
  • 「先生に義手を使って鉄棒をしている動画を見てもらったよ」

といった「生の声」を聞くうちに、ペコちゃんが教室で過ごす姿が想像できるようになってきました。

1月:専門家の知見で「最後の一平穏」を整える

入学まであとわずかとなった1月。オンライン相談会では、多くの手のお子さんをサポートしてきた作業療法士(OT)の先生から、貴重なお話を伺うことができました。

これまでは「うちの子の場合」という視点が中心でしたが、先生が担当された他のお子さんの経験談を聞くことで、「こんな時、プロはどう動くのか」「学校側はどう反応したか」という、より広い視野でのアドバイスをいただけました。

  • 「どこを手伝ってほしいのか」を具体的に伝えること :学校側も「何に困るのか」が分からないと動けません。「ここまでは自分でやる。でもここからは手伝ってほしい」という境界線を具体的に伝えることが、スムーズな支援への第一歩でした。
  • 「一緒に考えてくれる大人」を増やす :担任の先生だけでなく、学年主任や校長先生、保健室の先生、そして専門家。一人で抱え込まず、ペコちゃんのことを一緒に考えてくれる「チーム」を学校の中に作っていくことが大切だと教わりました。
  • 「できること」を増やすより、「助けを求める力」を :「できた、やってみた!」という経験は何よりの宝物。たとえ失敗しても大丈夫。何でも一人で完結させることより、困った時に「手伝って」と言える力こそが、これからの長い人生を支える強みになります。

「ペコちゃんと同じような道を通ってきた子が他にもいる」「そして、その子たちは今、元気に学校生活を送っている」 その事実を専門家の方から聞けたことで、私の心は最後に残っていた小さな不安からも解放されました。

不安が「楽しみ」に変わるまで。半年間の準備で見えた景色

6月の電話から始まった、私たちの就学準備。 園の先生の愛に触れ、学校の先生と信頼を築き、先輩家族や専門家の先生に背中を押してもらった半年間。

入学を前に、今私が感じているのは「不安」ではなく、「たくさんのプロや仲間に見守られている」という心強さです。

これから入学を迎えるペコちゃん。 大丈夫、君の周りにはこんなに素敵なチームができているよ。

胸を張って、いってらっしゃい!

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